夕べは、ギリギリまで待ったけど
結局、彼からは何も連絡がなく、
諦めて寝ようとしたその時、携帯が鳴った。
メールだ!
2時半を過ぎていたので、
従妹からのメールではないだろう。
0時くらいまでは、
メールチャットが続いていたけど・・・

メールボックスをチェックする。

彼からだ!!

「おめでとう。
今福島に来ていて、電波が届かなかった。
ごめんなー、遅れちゃって・・・」

もう、これ以上嬉しいプレゼントはなかった。
嬉しすぎて、発狂しそうになるとは
こういうことをいうのか!!と
思わず納得してしまう・・・(笑)

しかし、福島に行くなんて聞いてなかった。
てっきり仕事で行ってるんだと思い、
「仕事で行ってるんですか?ご苦労様。」
とメールしたが、
彼の場合、仕事とは限らないところがある。

彼は時々、
「そうだ、○○へ行こう!」のノリで
いきなりどこかへ行ってしまう傾向にある。
その行き先は、国内に限らず、
地球規模である。

ひょっとしたら、彼的には
さっさと帰ってくる予定なのかもしれない。
それにしても、今日も
そのメール以来、連絡はない。
日中、ちょっと質問したいことがあって
メールしたけど、その返事もない。
やっぱりまだ電波の届かないところに
いるんだろうか・・・

一人でどこへでもとっとと行ってしまう彼。
だから心配がないわけではないあたし。
でも、それが彼の特徴でもあるわけで、
あたしは彼を信じてるから・・・

今夜もひょっとしたら
夜中の2時3時に携帯が鳴るかもしれない。
とりあえず、寝る体制になって
待つとするか・・・

決心。

2001年5月21日
彼から、何も連絡がない・・・

期待していなかったとはいえ、
やはり淋しい・・・
この前、誕生日の話になって
「5月20日だよね。」って言ってたから
てっきり、覚えててくれてると思ってたのに。

夕方頃、何気に
「また一つ、年をとってしまいました・・・」
って、メールしてみた。
ホントは自分から
メールしたくはなかったのだけど・・・
なのに、全然返事がない。
いつもだったら、たとえ仕事中でも
割とすぐに返事くれてたのに・・・

ひょっとしたら、寝てるのかな。
体調が万全でない上に、
仕事がたまってて、寝る暇なかったわけだし、
日曜日くらい、のんびり寝てたのかな。
そうしたら、きっと
起きてくるのは2時3時・・・

「ごめん、一日寝てました。
そういえば昨日、誕生日だったんだよね。」
なんてメールが来ることを
ものすごく期待してしまってる
自分が、辛くてしょうがない。

話そう。彼に。
あたしの気持ちを。
あたしは、あたしのこの気持ちに
自信を持ってる。
だから、怖くなんかない。
自信を持って、彼に話そう。


久々に、合唱団の練習に出る。
しかし、久々だったため、
練習場所のチェックをしていくのを忘れ、
柳瀬川、朝霞と渡り歩き
最後に和光に行って、やっと合流成功。
1時間も損してしまった・・・

結構、気が滅入っていて
あまり歌いたくない日が続いていたけど
このところ、「家にいたくない」症候群が
出てきてしまってるので
これからは、毎週、練習に
出られると思うけどな・・・

そういえば、日付が変わっている。
と、いうことは、
あたしも一つ、年をとったということか。
何か、普段の日と変わらないから
全然、「誕生日だ」という
実感が湧かない・・・

問題は、果たして彼が
今日があたしの誕生日だってことを
覚えているかどうかである。
恐らく、「5/20」という
日にちは覚えていると思うが、
今日がその「5/20」であることを
きちんと把握しているかどうかだ。

正直なところ、あまり期待はしてない。
だって彼にとっては
あたしは別に特別な存在でも
何でもないから・・・

明日には、別件で電話してくると思う。

「ふうい・・・」

あたしの宙仲間の方々なら
よくご存知のこのセリフ。
そう、あたしのお決まりの挨拶言葉だ。
でも、この挨拶はもちろん、
ネット上だけのものであって、
オフラインでも使っているというわけじゃない。

しかし、今日は
思わず「ふうい」と言ってしまいそうな・・・
そんな日だった。
挨拶としてじゃなくて、
大きな溜息として。

やっぱり、人間にとって
「睡眠」ってものは大事なものだ。
改めて、そう感じた。
「彼が仕事を頑張ってるんだから
あたしがここでくたばってはいけない!」
と、あたしも眠気に対抗してみるが
その時、対抗できても、
あとでそのつけが回ってくる。
今日は正にそんな状態で、
また、図書館が休みで、
行くところがないこともあり、
気がついたら、一日中寝ていた・・・
やらなければならないこともあったはずなのに。

今日は彼からは何の連絡もなし。
仕事は片付いたのだろうか。
確か、まだ体調が元には戻っていなかったはず。
もう少し、寝る時間をあげたい。

ホントにあたしって、
彼のために何もしてあげてないんじゃん!

自己嫌悪に陥る一方だ・・・
仕事が終わってから、図書館に行った。
今日は早くにあがってしまう仕事だったので
2時間ほど、ゆっくり出来た。

あたしは、一人でいることを
こよなく好む傾向にある。
「孤独好き」らしい。
だからといって、
いつもいつも一人でいるわけではない。
友達と会って、おしゃべりするのも大好きだし
「飲み会、やろう!」って言われたら
絶対に、進んで「行く!」と言うタイプである。
ただ、自分から言い出すことはあまりない。
何もなければ、大概、一人だ。
何もない日は、ずっと家に、一人でいる。
特に淋しいと思ったことはない。

しかし、つい最近・・・
正確に言うと、彼に会ってからなのだけど、
一人ぼっちでいることが、
急に淋しく思うようになった。
いや、孤独好きであることには変わりない。
一人でいること自体は未だに多いが、
今までになかった淋しさが
心の中をふっとよぎることが多くなった。

そんなこんなで、図書館に行くことが増えた。
もともと、図書館という場所は好きだった。
図書館なら、一人でいられることと同時に、
必ず周りに人がいる。
孤独を守れるのに、
淋しい思いをしなくてもすむ。
今のあたしにはぴったりの場所だ。

今、あたしが読んでいるのは、
妹尾河童先生の「少年H」。
前から読みたいな、と思っていたのだが
この度、実家の母から借りて
ようやく読み始めた。
一昨日、昨日で上巻は全部読んでしまった。

あたしは、Hの父親が好きだ。
Hの「何故?」「どうして?」に
いつもきちんと、丁寧に答えてくれる。
(時々、しんどくなることも
あるみたいだけど・・・<笑>)
戦争中の話なので、
下手なことをいうと
サツにしょっぴかれる時代である。
しかも、Hの思っていることは
大声で言えば、絶対「非国民だ」と
言われるようなことばかりである。
Hの父親も、「他で言うたらいかんで。」
と、必ずHに言う。
H自身にとって、
自分の考えを、心の中にあるまんま、
話すことの出来る唯一の存在だ。

「自分の思っていることを
なかなか話せない時代」・・・
実は今でもそうなんじゃないかなって思う。
もちろん、今は憲法でも
言論の自由や表現の自由が認められてるから
サツにしょっぴかれることは
そうそうないとしても、
人に非難されることは大いにある。

「軍や警察は勢いづいて、宗教にも
もっと圧力をかけてくると思う。」
Hの一家はキリスト教信者である。
戦争における日本の勢いを見て、
Hの父親は、自分の家が今まで以上に
「非国民」「国賊」を言われるのではないか、
と懸念し、家族を集めて、
「『キリスト教を信じている人間は敵だ』
と思わせないように、
気をつけたほうがええと思う。」と言った。
いちばん熱心な信者である母親は
「あんたは、いつから信仰を失ったん?
そんな人やとは思わなんだ!」と反発した。
江戸時代の踏絵の話を思い出したHが
「踏絵を踏まされて調べられるの?」
と言った時も
「私は踏まんよ!」と断言した。
その時、父親はこう言ったのだ。

「そうやないんや、踏んでもええのや。
信仰は自分の心の中にあるんやから、
それを護るんは正面から抵抗するだけやない
というのを知っておいて欲しいんや。」

あたしは、この父親のセリフの中に
ちょっと前、彼があたしに言ったことと
同じものを見たような気がした。

あたしは今まで、「大人になること」を
拒否しながら生きてきた。
いつまでも子どもと同じような
純粋な心を持ち続けたかったからだ。
だから、年を重ねていくごとに
周りとのずれを感じるようになっていた。
「それは違う!」「これも違う!」と
あたしは必死で反発していた。
絶対に、今まで守ってきたものを
汚したくないという一心で・・・
最近になってそれを非難されることも多くなった。
そんなことでは、世の中、渡っていけないと。
だけど、あたしは
自分は間違ってるとは思わなかった。
何としてでも、自分の心を
真っ白なままで守り通したかった。

あたしは、彼なら分かってくれると思って
そのことを話した。
しかし彼にもあたしは「間違ってる」と言われた。
だけど、彼の言い方は、他の人とは違っていた。
「お前、自分の心の護り方、間違ってんだよ。
今のままじゃ、傷付く一方だよ。」
彼は、あたしの心そのものを否定しなかった。
むしろ、認めてくれたのだ。

人は、大人になるにつれて
世の中の「汚れた面」を見ることが多くなる。
そして心も次第にその色に染まっていってしまう。
だが、それは生きていく上で
必要なことなのだ。
そしてそれは、
あたしが護っていこうとしている
子どものころと同じ心を汚すことは決してない、
むしろ、それを護ることにつながるのだ。
あたし自身は、たとえどんなことがあっても
自分のその心が正しいものだと信じている。
世の中の流れについていっても、
自分の中で信じていれば
それが崩れることはないのだ。
逆に逆らってばかりだと、
壊れていく一方なのだ・・・

きっと彼は、そう言いたかったんだと思う。

実は彼は、大変な読書家である。
実家の彼の部屋は、
まるで本屋のようになっているらしい。
母方の親戚に、かの文豪・志賀直哉先生が
いるという環境から
そうなったのだろう。
世の親なら、自分の子どもに
読書を奨励するのが常だが、
彼の場合、親に「もう読むな」とまで
言われたそうである。

本を読むことによって学ぶことは多い。
あたし自身も、結構、本は読む方だ。
そしてその本から得たものは多かった。
そう考えると、彼はきっと、
本を読んでいる量が多い分、
いろんなことを学び、考えてきたんだと思う。

あたしは、まだまだ、だ。
ますます、彼を尊敬した。
彼のことだから、きっと
「少年H」も読んでるだろうな。
今度会ったら、話をしてみよう。

そういえば今日は連絡が何もなかった。
仕事を片付けているんだろう。
まだ寝る暇はないのだろうか・・・
あたしは、夕べは不覚にも、寝てしまった。
なのでこの日記を、
昼間、書く羽目になってしまった。
今夜は寝ないって思うけど、
明日は合唱の練習の日だから、
寝ないと声が出ない・・・
だから寝ちゃうかも。


あたしと彼の関係って一体何なのか。
こんな日記を書いていたら、
勘違いをされてしまうかもしれない。
しかしあたしと彼は
「勘違い」をしている皆さんが
思っているような関係ではない。

あたしと彼が出会ったのは、
ネット上である。
彼がやっているホームページに
あたしが迷い込んだのだ。
見てみると、とっても面白くて
彼にメールをしたのがきっかけである。
たまたま、住んでいるところが近く、
そのうち「会いましょう」
ということになった・・・

彼は、今まであたしの周りにいた人たちと
全く違うタイプの人だ。
だから、話してくれる話も
今まで聞いたことのないような話ばかり。
それもとっても楽しいのだ。
ここではあまり詳しいことが書けないのだが、
ホントに「波乱万丈」な人生を
歩んできている人だ。
彼の持っている「考え」も
たくさん話してくれた。
その一つ一つが、あたしの心に
突き刺さるように入り込んできた。

あたしは気がついたら彼に
自分のいちばんの悩みを打ち明けていた。
今まで誰にも話さなかった悩みだ。
いや、誰にも話すまい、と思っていた悩みだった。
それほどの悩みを、あたしは
知らず知らずのうちに
彼に打ち明けていたのである。

今、彼は、
あたしのその悩みを解決するため、
こんなにも頻繁に
あたしに会ってくれるのである。

「ヤバイ。仕事がたまりすぎて
寝る暇がないです。」
今朝、こんなメールが、彼から送られてきた。
「ごめんなさい、あたしのせいで・・・」
そういうと彼は
「いや、あなただけじゃないですから。」
そう返してきた。

そう。彼は誰に対してもそうなのだ。
困っている人をみると、黙っていられない。
自分の仕事をほっぽりだしてまでしても
その人の面倒を見てしまう。

あたしは、彼が面倒を見ている
たくさんの人の中の一人に過ぎない。

でも、あたしにとっては
誰よりも大事な存在・・・
もう二度と、こんな人に会うことはないだろう、
それくらい大事な人だ。
あたしが一番尊敬する人。
あたしが目標としている人。
あたしのことを認めてほしい人。
そして、あたしの成長を
ずっと見守っていてほしい人・・・

彼はいつかあたしに
「自分がどんな人間になりたいのか、
それを常に考えていることが大事だ。」
そう言った。

あたしは、あたしに出会った人みんなが
「アナタニ会エテ本当二ヨカッタ」
と言われるような人になりたい。
そして、その人の人生にとって
あたしとの出会いが少しでも
プラスになるように・・・
それはもちろん・・・
彼にとっても、そうでありたい。

彼はいつかあたしに
「自分自身に自信を持て。
『これだけは誰にも負けない!』とか
そういう自信ではなくて、
『漠然とした』自信だ。」
そう言った。

あたしは彼に、自分自身の気持ちを
めいっぱい注ぎ込みたい。
でも、それは、
自分に自信を持っていないと
出来ないのではないかと思う。

あたしは考えた。
彼の存在は、間違いなく
あたしを成長させてくれている。
彼を想うことが
あたしがなりたい自分を目指し、
自分に自信を持つことにつながっている。

あたし・・・頑張る!!

朝10時過ぎ、調布駅到着。
南口に出て、駅前広場を見回す。
もう見慣れた、彼の車・・・すぐに分かる。
近づくと、彼は気持ち良さそうに寝ている。
窓を叩いてみる。起きない。
もう一度、叩いてみる。やっぱり起きない。
う〜ん、起こしちゃ悪いような気も・・・
車から少し離れて、携帯を鳴らしてみて、
やっと目を覚ましてくれた。

「そんな近くからかけたのか。
乗ってくればよかったのに・・・」

ロックがあいてたからそれも考えたけど
びびらせたらいかんと思って・・・(^^;)

調布駅前で待ち合わせて
町田界隈(京王線、小田急線、南武線沿線)を
走るのがお決まりのコース。
でもコースはお決まりなのに飽きることがない。
確かに、途中で会話が途切れて
まったりモードになる時間もあるのに
それでも幸せだと思えるのは何故だろう。

あたしは、よく彼にこバカにされる(笑)
どうやら言動を見ていると
「面白い」らしい。
確かに、そういわれるような要素はあると
自分でも思う。
多分、一番の要素は「しゃべり方」だと思う。
何しろあたしは、九州・関西・東北が混ざって
ちょっとイントネーション等、
おかしいところがある。
おかしいのは自分でも分かってはいるが、
直そうとすると余計おかしくなる。
訛ってること自体、自分は嫌ではないから
直す必要もないのだが、
真面目な話をしているときにいきなり
彼にゲラゲラ笑いされると
やっぱりちょっとむかつく(爆)
でも何故かそれに喜びを感じてしまう。

彼は、決して下手なフォローはしない。
真顔で「あたしってやっぱ
おかしいのかなぁ・・・」なんていうと
普通は「いや、そんなことないよ。」
と来るのが世の常。
今まで、あたしの周囲にいた人間は皆そうだった。
しかし彼の場合、
「うん!おかしいよ!!」と笑顔で即答する。
をいをい・・・ちっとは
フォローせぇよ!!と言いたくなるが
でも、月並みなフォローよりも
何だか自分自身の「個性」みたいなものを
認めてもらってるような気がする。

「そんなことするヤツ、初めて見た」
と言われては爆笑されるあたし。
ぷいっとそっぽ向いてはみるけれど
でもホントは嬉しい。
その気持ちを、
実は分かってるんじゃないかってなくらい
彼は見事にあたしを
「いじめて」くれるのである。

聖蹟桜ヶ丘駅前のスターバックスで
ちょっとまったりしてみる・・・
そうだ・・・あんまり元気だから
ついつい忘れてしまってたけど、
彼は病み上がりなんだ・・・
体調はパーフェクトではない。
ふと彼が「仕事、たまってんだよなぁ。」
と、つぶやいた。
「具合悪くしてる間にたまったんですか?」
そう聞いたら、無言で頷いた。
「でも、家にいれば出来るんだけどさ・・・」
あたしは、はっとした。
彼が仕事が進まないでいるのは
あたしのせいなのではないか、と。
このところずっと
あたしのそばにいてくれている・・・

「・・・で、どうする?これから。」
その言葉で、我に返る。
「・・・帰ります。」
もっと一緒にいたいという気は大いにあったが
さすがにそれは言えない。
「そう・・・じゃ、俺、
家、帰って仕事するわ。」
うん。その方がいいです・・・

また連絡する、ということで
駅前で別れた。
決して体は大きい方ではない
(下手すると今日はあたしの方が
背が高かったかもしれない・・・)
のに、何だか大きくみえてしまう。
それは、あたしが彼を頼りにしている
証拠なのだろうか。
あまり甘えすぎてはいけない・・・
そう思ってはいるのだけれど。

そういえば彼は、6月から2ヶ月ほど、
仕事で東京を離れる。
たったの2ヶ月・・・かもしれないが
あたしにとっては大きい。
・・・気持ちを伝えてしまおうか。
彼が東京を離れる前に・・・
いや、気持ちは恐らく、バレてると思う。
だからこそ、自分の口から
それを彼に伝えたい。
彼の目をきちんと見て伝えたい。

今まで10回近く、「告白」は経験しているが
あたしは、相手の目を見て
告白したことがないのだ。
それは結局、自分自身に自信がなくて
「手紙」に逃げていたような気がする。
その手紙でさえ、直接渡したことなんて
1度しかない・・・

今度こそ、彼の目を見て
自分の気持ちを伝えたいと思う。
何でもお見通しの、彼の目を見ながら・・・



朝、起きると、何となく体が重い・・・
夕べ、いろんなことを考えながら
眠りについたせいだろうか。
何となく、食欲もイマイチ。

・・・ふと、その時、
とある感覚が体中を駆け抜けた。

・・・!!!

やっぱり・・・
あたし自身にも、
彼の体に起こった異変が起こりつつあった。
しかし、熱はないようだ。
幸い、薬があったので、
とにかく、飲んでおく。
おかげで、あたし自身が感じた辛さは
2時間程度で済んだ。
この辛さを、彼は
4日間も抱えていたのだ。
きっとかなり体力が落ちているに違いない。

メールしてみよう・・・
携帯を取って画面を覗き込む。
・・・メールが届いている。
あたしが目を覚ます前のことだろう。
全然、気がつかなかった。
メールボックスをチェックする。

・・・彼からだ!!

慌ててメールを開いた。

「ごめんなさい。寝てました。
熱は引いたけど、体調が・・・」

よかった。夕べは寝てただけなんだ。
あたしと同じで、普段はものすごい夜型。
5時6時まで起きてることが普通だから
夜中の11時なんて、まだ昼間みたいなもんだ。
だから全然気兼ねなく電話できる時間・・・
もちろん、普段なら、だけど。
よっぽどきつかったんだな。
あの時間で、寝てたってことは・・・

「病院は行ったんですか?」
「食欲はある?少しでもご飯、食べられてたら
いいんだけど・・・」
矢つぎばやに、次々と
心配していたことを聞いてみた。
でも、彼は全然、質問には答えてくれない。

だけどあたしは、それでも安心した。
メールの内容が、いつもの調子に
戻っていたからだ。
この調子なら、きっと元気なんだ・・・

「お姉様、今日のご予定は?」

ごめん、今日は仕事だし、
夜は父親が泊まりに来るから、無理だわ・・・

明日は休み。
いつ「今日、暇?」って来てもいいように
お気に入りの図書館で待機してようかな。

P.S.
ちなみに彼はあたしのことを
「お姉様」と呼ぶ。
確かちょっと前に
「自分より年上は『お姉さん』って呼ぶ。
自分より年下は『おばちゃん』って呼ぶ(笑)」
って言ってたんだけど・・・
あたし、彼より9つも下なんだけどなぁ。
たまに「お前」って言われたり、
苗字に「さん」付けで呼ばれたりもする。
たった一度だけ、
下の名前の呼び捨てもあったけどね・・・

どうか無事で・・・

2001年5月14日
「下痢が止まらず、大変です。」
そのメールをもらってから、
ずっと気が気じゃなかった・・・

彼の体に異変が起き始めたのは水曜日。
厳密にいえば曜日が木曜日に変わってすぐだった。
「熱が38.6度ある」というメール・・・
木曜日に会う約束をしていたけれど、
この調子じゃ無理だろう・・・
そう思っていたけれど、昼過ぎに
「熱が大分下がってきた」と電話があった。
あまり無理しないでほしい、とは思ったが
「大丈夫」という彼の言葉を信じ、会いに行く。

けれど、彼は「大丈夫」なんかじゃなかった。
明らかに彼の体の中で、
次の「異変」が始まっていたんだ。

なのに彼は、何でもないような顔をして
いろんな話をしながら笑ったり
歌のサビの部分を歌って
「この曲、知ってる?」なんて
いつも通り、聞いてくる。
彼が普段と同じように接してくる。
だから、あたしも普段と同じように接する。

彼が頑張ってるのに、
あたしが悲愴な顔をしちゃいけない・・・

「駅があるところだったら、
あたしはどこからでも帰れるから、早く帰って、
早く寝て下さい・・・」
別れ際に、彼の目をきちんと見て、
あたしはそう言った。

それから2日間は、
電話して様子を聞きたいとは思いつつ、
具合が悪い時にあまり電話しても・・・
と思い、心配だったけれど
そっとしておくことにした。

3日目の今日・・・
あたしは朝から忙しくてバタバタしていた。
しかし彼のことが気になって仕方がない。
「もう大分体力も回復してるかな・・・」
そう思って、FCアリーテの総会中、
こっそりメールした。
「体調の方は大丈夫ですか?」
大丈夫、という答えを、かなり期待した。

「下痢が止まらず、大変です。
手があいたら、電話下さい。」

血の気が引いていくのが分かった。
すぐにでも電話したかった。
でも、総会が終わったら、
竹の子FCの試合にいかなければならない。
しかも、マネージャーなのに
かなりの大遅刻で行くので、
ゆっくり電話している時間がないのだ。
7時には試合が終わる・・・
そしたら速攻で電話しよう!!

しかし・・・そんな時に限って
チームのムードメーカー、Aさんが
試合中に負傷・・・
キャプテンにAさんを病院に連れて行ってもらい
あたしは、相手チームへの対応に追われる。
どうやら今日はこれ以外にも
あたしが来る前にかなり問題があったらしい・・・
その話は、あとから
キャプテンに聞いたのだけれど。

とにかく、あたしは、
Aさんの容態の報告を、
競技場の事務局の前で待っていた。
連絡が入り次第、すぐに事務局に
Aさんの状態が話せるように・・・
待っている間、彼に電話することも出来た。
しかし、その間にキャプテンが
電話をしてきたら・・・?
彼のことは、痛いくらい心配だった。
しかしあたしは今「マネージャー」だ。
Aさんの情報を最優先しなければならない・・・

9時・・・ようやくキャプテンからの電話。
「検査の結果は明日出るらしい。
Aさん本人が明日また病院に行くから、
明日、Aさんに電話して結果を聞いてくれ」と。
あたしはそのことを競技場事務局に話し、
競技場をあとにする。

やっと「マネージャー」から解放された。
これで彼に電話できる!!
速攻で電話した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
留守電だ・・・
また、あたしの心の中に不安がたちこめた。
「あとでまた電話します。」
その時は、とにかくその一言しか言えなかった。

あたしが今日、こんなに忙しくなかったら
すぐに電話できたのに・・・
今更そんなことを言っても仕方がない。
でも、彼が大変な時に、
すぐに何も出来なかった自分が情けなかった。
口惜しくて仕方なかった。
もう一度、電話してみた。やっぱり留守電だ。
「メールもらってから、ずっと
心配してたんですが、すぐに電話できなくて
申し訳ありません。
で、病院には行ったんですか?
体力消耗するだけだから、
行った方がいいと思います・・・」
そこで、留守電が切れた。
最後まで言い切ることが出来ずに。
もう一度・・・しかし今度は
留守電にさえ、つながらなかった。
「余計なこと抜きで、本当に心配してます。
今は自分の体を回復させることを
第一に考えて下さい・・・」
そうメールした。

出来れば、
電話口の彼を相手に、伝えたかった。

苦しい時に
そばにいてあげられなかったあたし。
似たような思いは、
何度かしたことがあったかもしれない。
でも今回は・・・
間違いなく、本物だと思った。

今は祈るしかない。

どうか・・・無事で!!


あたしは今、人生の転機をむかえてると思う。
今までは、経験することのなかった
たくさんの感情が
心の中で渦巻いている。
こんな気持ちになるのは、
今しかないかもしれない。

今だからこそ持っている、大事な「気持ち」を
少しでも、自分の言葉で書き残そう・・・
そう思った。

あたしに、こんな大事な「想い」をくれた
あなたがこの世に生きていてくれたことを
感謝しています。

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