相変わらず彼からは
何の連絡もない。
よっぽど忙しいのだろうか。
6月に入っても、まだ
山形に行けないでいるわけだから
かなり仕事は遅れ気味に
はまっていることは確かだ・・・と思う。

それにしても。

何故、「あたし」だったのか・・・
どうしても気になる。
気になって眠れない。
特に、2万円を自分自身が3日で作ってみて
更に気になり始めた。
だって、あたしが3日で作れたんだから
彼だったら、どう考えたって
1日かそこらあれば、
簡単に作り出せる額なんだもの。
それに彼は貸してくれそうな友達は多い。
いざとなったら助けてくれる友達が
彼にはたくさんいる。
あたしなんかに借りるより確実な相手が
絶対にいたはずである。

「聞いてみよう。」
そう思い立って、メールする。
「どうしても聞きたいことがあります。」
今、きっとかなり忙しいだろうから
「本当に時間がある時でいいので
連絡下さい。」とも付け加えておく。

もし、これでとりあえず連絡が来れば、
決して彼が、あたしからの借金を
踏み倒して逃げようとしているのでは
ないということがまず分かる。

とにかく・・・待ってみるしかない。

そんなにすぐには連絡は来ないだろう。
ちょっと気持ちを落ち着けよう・・・

あたしの家は、弟と二人暮しで、
弟が家にいると、1人っきりになれる場所が
トイレか風呂しかなくなってしまう。
だから、何か1人で考え事をしたい時、
あたしの入浴時間は1時間近くにも及ぶ。

・・・それがいけなかった。

風呂から上がって、部屋に戻ってくると、
携帯に「メールを受信しました。」の表示。
さっきまでメールチャットをしていた
従妹からかな、と思い、チェックをしてみると
何と彼からだった!
まさかこんなに早く連絡があるとは・・・

「電話に出ないんだったら
メールしてこないで下さい!
不必要なメールは迷惑です!」

・・・えっ?!

あたしは慌てて、着信履歴を見た。
そして、唖然とした。

あたしの入浴中、何と彼は
3回も電話してきているのだ!
あたしがメールしてから30分と経っていない。

仕事が大変だろうから・・・と
むしろ気を遣ったつもりが
こんなことになるなんて・・・

家には弟がいるので、
あたしは急いで着替えて、
暗闇の中、近くの公園に走った。

携帯のメモリを開くと、必ず一番上に
出てくる彼の名前・・・
(注釈:わざとそうしているのではなく、
五十音順に並べると、自動的に
そうなってしまうのだ。)
内心、ドキドキしながらダイヤルする。
・・・どうしよう、怒ってるかな、
出てくれるかな・・・

「もしもし。」
彼の声は、思ったより明るかった。
あたしであることを告げる。
「あ〜、今ちょっとまずいんですよ〜。
ちょっと仕事中で・・・」
しゃべりが完全に仕事モードだ。
とにかく、電話に出られなかった理由を
きちんと言って、謝る。
「そうだったんだ。で、何でしょう。」
仕事中だ、と言われては、
さすがに今はあんなこと聞けないな、と思う。
「ホントに時間がある時でいいです。」
「じゃぁ、こっちから連絡します。夜は
何時ごろならいいかな。」
「7時以降なら、何時でもいいです。」

とりあえず、声的には、機嫌は悪くなかった。
ただ、彼の声による演技力はもの凄いもので
本当はどうだったのかは分からないけど・・・

ただ、一つだけハッキリしたことがあった。

彼は、あたしのことを心配してくれている、
ということ。

だって、仕事中で忙しいはずなのに
あたしがメールしたらすぐに
電話をくれたのだから・・・

今度は彼から電話をくれるということだけど
何だか、こんなしょーもないことを聞いて
本当にいいのだろうか・・・という
気がしてならない。
だからといって、折角電話をくれたのに
「やっぱりいいです。」と言ったら
余計に申し訳ない。

いつ電話が来るかは分からないけど・・・
ってのんきに構えてたら
またいきなり明日辺り、
電話が来そうだから、
とにかく、心の準備をして
彼からの電話を待とう。

コメント

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

この日記について

日記内を検索